押し絵・京文庫

京文庫というのをご存知だろうか?
お針箱の一種で、針など小物を入れておくかわいらしい箱である。



紙で箱を作り、絹や縮緬で細工が施してある。小さな箱の中には、さらに小さなはこがはめ込んである。昔は女性が挙って買い集めたものらしいが、現在では需要がなくなったのか、ほとんど作られていない。和製ジュエリーボックスとしてダイアナ妃もお土産に購入したが、いまこれが買えるのは「みすや忠兵衛」だけである。職人さんも90歳を超えたこの栗田さんだけになってしまい、後継者がいないらしい。




これらの材料を、下の写真のような道具を使って作品として仕上げる。



タガネとよばれる道具(使い込んで黒光りしている)も十種類以上ある。栗田さんが使っている木槌も年期が入っている。



蓋の部分だけを見ても見事なできばえで、全体がもう芸術作品である!
このような職人技が消えていくのは誠に惜しいし残念ではあるが、これも時代だというには余りにも寂しい。