藤野家のお正月

晦日:午後9時から10時の間に若水を汲む。容器は一升瓶。由緒あるお家ならちゃんとした入れ物があるのだろうが、うちは昔からこれであった。因みに以前は井戸から汲んでいたが、涸れてしまったので現代では水道水である。
前年の水は、家の周囲に撒くのも習わしであるが、他の家でやっているのを余り聞いたことがないので、我が家独特のものかあるいは何かの変形か?

元旦:仏様、神様のほか井戸(水の神様)や台所(火の神様。昔ならおくどさん)、便所の前などにおかがみさん(鏡餅)を供え、順番にお参りする。昨年一年が無事であったことへの感謝と、今年一年の平安を祈る。
その後、家族が一堂に会して個々に挨拶をする。子どもの頃は照れくさくて嫌だったが、今は家長として(古い言葉!)この風習を伝えねばと思っている。

お雑煮:白味噌に焼いた丸餅。雑煮大根とさといもを入れる。男子の場合は、「かしら芋」という大きなさといもを入れる。「人のかしらになるように」という意味がこめられている。一人ずつのお膳でいただく。「いただきます」ではなく「お祝いします」と言って食べる。おせちで独特なのは、棒鱈かな?干した鱈を水で戻して煮たもので、新鮮な魚が獲れなかった時代の名残である。その他ごまめやたたきごぼう、黒豆など。それぞれ謂れがある。
最近は数の子も出てくるが、小さい頃は食べた記憶がない。多分相当に高かったからだと思う。

初詣:近所の下御霊神社に行く。余り有名ではないが、由緒正しい神社ではある。

今年は、元日に妹一家、二日に弟一家が訪ねてきて賑やかだった。その分しっかりとお酒をいただいた。