泉屋博古館・富岡鉄斎展





岡崎天王町の交差点をさらに東に坂を上っていくと、そこは閑静な住宅街、というよりも豪華な屋敷が並んでいる(明治時代は別荘地であったらしい)。右手には岡崎つる家。皇族、国賓が入洛された際には、必ずここで夕食である。あのタイヤメーカーの格付け本で最高点を取ったが、ある意味当然であろう。一見さんお断りなのか店を表す看板が一つもない。知らない人は通り過ぎてしまうだろうが、もっとも高くてとても入れない。
北側にはある新宗教の京都本部、疎水を挟んで別の新興宗教のこれも京都本部がある。その東側、鹿ケ谷通角にあるのがこの美術館である。


ここは住友家の15代住友吉左衛門(号:春翠)の別荘の一部を美術館として建設し、住友家の所蔵品を収蔵している。中国古代の青銅器が有名であったのでそれが主かと思っていたら、今回のように日本画も沢山所蔵しているとのこと。国宝も2点あり、いずれも中国の鏡と絵画である。
見学した当日はたまたま学芸員による解説があり、一点一点を1時間以上に亘り解説してもらえるラッキーな日であった。京都の町を歩くと鉄斎の書になる屋号を扁額にしている店を見かけることがある(2件は知っているが、もっとあったような気もする)。京都の人には親しまれた文人画家である。今回は30点もの展示があったにも関わらず、泉屋博古館のパンフレットには鉄斎のての字も載っていない。もっとすごい作品が沢山あるとでも言いたいのだろうか?


大文字の火床が指呼の間に見えるこじんまりとした、しかし品のいい美術館である。