顔見世2010



本来の芸とは別のところで何かと話題の多かった今年の顔見世ではある。この写真は12月初めに撮ったもので、件の役者のまねきはまだ上ったままである(この2日後に下ろされたそうな。またプログラムも全部刷り変えたらしい。大変な出費である)。

この白い割烹着の人たちは何をしているのかな?彼らは京都の有名仕出し屋や一流料亭の料理人で、芝居見物のお客さんのために弁当を届けるのである。もうじき午前の部が終わると観劇客はこのお弁当を劇場内で食べるのである。幕と幕の間で食べるので、「幕の内弁当」はここから名前がつけられたといわれている。
入口の左側に「祇園町御連中」という看板が立っている。顔見世は京都の五花街が順番に見物することでも知られているが(総見という)、この日は祇園町の番であった。この直後午前の部が終わり、着飾った芸舞妓やお茶屋のおかみさんたちが一斉に出てきた。先頭は井上八千代さんで、みなおっしょうさんに遠慮していたのかもしれない。それはそれは華やかなものであり、これを目当てに多くのカメラマンが構えていた。残念ながら僕は電池切れで、絶好のシャッターチャンスを逃してしまった。2010年痛恨事の内のひとつである。