便所の神さん



我が家ではお正月に、神さん、仏さん、床の間他10箇所くらいに鏡餅をお飾りする。井戸(水神さん)やおくどさん(現在ではガスコンロに火の神さんを祀る)とならんで、便所にもお供えをする。便所はこのように庭に面した廊下を歩いていかねばならない。現代風の建築では考えられない寒さの中で用を足すわけではある。
その昔(僕がまだ小さい頃)は鏡餅は餅屋さんに搗いてもらっていたが、最近ではご他聞に洩れずパックである。うちは商家ではないのでかなりいい加減なお飾りかもしれない。屋外にあると小動物(鼬や鼠)に狙われる恐れがあるが、パックだと彼らも手が出せないと高を括っていたら、意外な動物にやられてしまった。それは烏である。パックの重ね餅は表面は厚手のプラスチックで堅いと見るや、ひっくり返して底の薄いフィルムラップを剥がして、餅だけを取り出したようである。気が付いてみると残骸だけで、お飾りの裏白(うらじろ)が写真のように遠くまで飛ばされている。烏は賢い生き物と聞くが、あのパックの中に食べ物(餅)があることをどうして認識したのだろう(臭いもないのに)。まして底から攻めるなんてどこで学習したのだろうか?
今流行の「トイレの神様」とは似て非なる話題ではある(余談ながら、この歌はいつ聞いてもうるると来る歌である。この歌が流れると我が家では全員無口になり、居住まいを正して聞く感がある)。