水尾・柚子の里





愛宕さんから北山杉の細い道を1時間ほど下ると水尾の里にでる。ここが京都市かと思うほど何にもない里である。源氏のルーツである清和天皇はこの地をこよなく愛され、御陵もあるくらい平安時代からの由緒ある里ではあるが。
最寄の駅(JR保津峡駅)まで4キロの山道でもちろんバスなどは走っていない。またこの保津峡駅保津川をハイキングする人のためにあるような駅で、駅前には何にもない(家も店舗もない)。
名物は昔から柚子である。何軒かが民宿(といっても日帰りのみ)を営んでいて、柚子風呂と鶏すきでもてなしてくれる。これが絶品で、玄関を開けた途端、柚子の香りに全身が包まれる。柚子をぜいたくに浮かべたお風呂に浸かると、今までの疲れが一挙に吹っ飛んでしまうほどである。風呂上りのビールを片手の鶏すきは、箸が進むことこの上もない。まさに至福のひとときを過ごした。
最近ではこの柚子を利用して、京都市交通局が「水尾のゆずチーズケーキ」を発売している。地下鉄駅でしか販売しない戦略のようである。