大峯山登拝その2


前夜の夕食と、朝食、昼食は精進料理である。
部屋をぶち抜いての雑魚寝した翌朝早く、女人結界を越えていよいよ修行に入る。
女性陣には別のメニューが用意されている。

ほら貝が鳴り響く中、山道を登るのであるが、それ自体は厳しくはない。
しかし我々のような新参者(新客さんと呼ばれている)は
裏行場といわれるところを修行せねばならぬ。
最大のハイライトは「西の覗き」といわれる岩場で、
このように岩場から身を乗り出して懺悔をするのである。
新客さん以外の人たちは面白がってはやし立てている。

山中到る所がこのような風景で、やはり登山ではなく登拝であることを思い知らされる。
常に先達さんが先頭に立って導いてくれる。特に急な岩場では、
「一歩目の右足はここ、その次はここに足を運んで」と懇切丁寧に指導してくれる。
山歩きに慣れている同行したKさんと僕にはそれがまどろっこしいので、教えを無視して
どんどん先に上っていく。「先達の言うとおりにしろ!」と怒られるが、
そのほうが危険が少なく登りやすいのである。
ふいに、「先達はあらまほしきことなり」という高校時代に習った
徒然草の一節を思い出してしまった。
下山後は精進落としの大宴会を経て、またバスで帰途に就く。
なかなかよくできたツアーというと怒られるかもしれないが、
修験道の講の一端を経験させてもらった。