京都の住居表示

先に合併のお知らせを受け取った住友信託銀行からこんな手紙が来ていた。

京都以外の人には(あるいは京都の人でも)何のことか分からないかもしれないが、
正誤表にあるように、住居表記が明らかに間違っている。
住居表示は単なる記号ではなく文化であるとかねがね主張しているが、
同じような考えの人がいて看過できずに抗議したのだろう
(奇しくも本日の朝日新聞天声人語では、各地で由緒ある住居表示がなくなり、
東西南北を冠した「麻雀型」町名が増えたと嘆いていた。
住居表示が文化であることを理解している人がいることに安堵を覚えた)。

以前なら絶対に間違えようがないのだが、
「郵便番号」というものが出来てからおかしくなった。

今回のケースで言えば、正式な住所は、
京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町612番地である。
「郵便番号」は600−8411で、郵便番号簿を使えば、
京都市下京区水銀屋町612番地となる。

水銀屋町というのがどこにあるかを知っている人は極々一部で(僕も今回初めて目にした)、
この表記では99%以上の人はこの店に辿り着くことはできない。
反対に、烏丸通四条下ルなら京都の人は100%分かる。

町名だけでなく通り名も入れなければならないと思った、東京本社の偉いさんが
行ったことかもしれないが、残念ながら地元の事情には疎かったようである。

一方、京都企業の名詞を見れば、通り名だけの表示になっているところが多い。
中にはwebsiteでも町名を省略しているところもあるほどである。

更に言えば、京都には同じ町名ながら所在地が全く異なるところがたくさんある。
例えば、鍵屋町は7箇所(下京区4、中京区2、東山区1)あり、
亀屋町にいたっては11箇所ある(中京区5、上京区4、下京区2)。
また竹屋町は4箇所あるが、東西に走る竹屋町通もある。
因みに前者がタケヤチョウであり、後者はタケヤマチである。

こんな町で町名を使うより、東西、南北の通り名を憶える方が
生活に便利であることは言うまでもない。