時代祭り

10月22日は、京都三大祭の一つである時代祭りの当日である。
他の二つ(葵祭祇園祭)が平安時代や戦国時代に起源を持つのに比べて、こちらは高々百数十年の歴史しかない。

とは言え、明治になって江戸に遷都となった後の京都を復興しようと平安遷都1100年を記念して市民の手によって始められた祭りだけに、随所に町衆の意気込みを見て取ることができる。例えば参加者が着る装束は時代考証に忠実に当時の最高水準の技術、材料が使用されていて、もし壊れても現代では修復ができないほどである。その他祭具や調度品も綿密な時代考証に基づいた今では芸術品に近いものとなっている。
この祭りの面白いところは、明治28年当時の京都(日本?)の感覚で組み立てられていて、登場人物も時代を反映している。すなわち明治新政府に功績のあった、あるいは縁の人物ばかりで、対した徳川方の人物は登場しない(西郷、木戸や坂本龍馬は登場するが徳川慶喜新撰組勝海舟はいない)。唯一例外なのは皇女和宮か。彼女も朝廷側の人間として捉えられているようである。
その時代の人々の考え方が如実に表れているようで興味深い。
明治維新から30年も経っていないのだから、西郷や龍馬をリアルタイムで知っている人もたくさんいたはずである。そう考えるとなおのこと面白い。